2章7原因と結果

Cause and Effect

本当の自分は、恐れなどないと知っています。
キリストは恐れは実在ではないと言っています。

恐れはないと認める。実は恐れを手放すのにはこれが一番早い道。
この物質世界は、自分が作りだした世界であり、自分の肉体は傷つけられるとか、心が傷つくといったことまで作り出している。ここは幻想の世界なんだと認めることができれば、恐れから解放されるのも早い。
しかし、言われてすぐにできるは人はいない、・・・と思う。

ヴィジョンクエストというネイティブアメリカン通過儀礼をご存知だろうか。大自然の中で何日か一人で過ごして、自分自身の内面を見つめるように促される。とくにシャーマンになる人は、何ヶ月もそうして過ごすと聞いたことがある。自分の中に大きな恐怖があれば、自然の中にそれを見る。あらゆる困難を一人で体験し、乗り越えなければならない。

私も一晩だが屋久島で体験したことがある。
嵐のように風が荒ぶ夜。闇の中森を行くと、何か黒くて大きな得体のしれないものが、目の前を飛んでいる。瞬時に形が変わる。まるで挑みかかるように大きくなったり、あっと言う間に遠くに行ったり。『ひぃーッ』心の中で叫んでいた。足はすくみ、血の気が引き、膝はガクガク震える。
その時、リーダーが『よく見なさいッ』と私に喝をいれた。こわごわ暗闇をよーく見ると、それは枝にかかって、強い風に揺れるすり切れた俵のようだった。よく見ようとすると、まるでスポットライトが当たったように見えてくるから不思議だ。
自分で作り出した恐怖に、自分が打ちのめされそうになっていたことに気づいた。人生で起きてくる恐れとはこんなものかもしれない、と私はその時、悟った。

私たちの思考、心はとても根深くこの世界が実在する、身体も心も傷つけられると信じているので、恐れもあると信じる。私たちの思考の力は強力なのだ。

この間違いを信じる思考、心が、原因である。
恐怖があると思えば、その結果として、そこに恐怖を見る。
心が先に作り出しているのである。

あなたはみんなを怖がり、その上にありとあらゆるものを怖がり続けてきた。神に恐れを抱き、私(キリスト)や自分自身にも恐れを抱いている。・・・恐れている者は、創造を誤って認識しているので、どうしても誤って創造してしまう。誤って創造すれば、自分が苦しい思いをする。

恐れに打ち勝とうとしてもそれは役には立たない。実際に、恐れに打ち勝つ必要があると決めてかかること自体が、恐れのもつ力を示している。真の解決法は、すべて愛によって打ち勝つことにもとづく。

恐れはまったく実存しないものであり、愛があらゆるものである。
光が暗闇に入ると、その時点で暗闇ではなくなる。

私は暗闇があっても、私がいるだけでそこは明るくなると自分に言っている。なぜなら、私は光だから。もう、怯えないで大丈夫。
恐れがあったら自分に言ってください。『よく見なさいッ』と。
実態のない妄想の中にいる自分に気づいてください。